spear a lotの落ちる先

映画初心者のブログ

『あの頃、君を追いかけた』

台湾には2度だけ訪れたことがある。一度目の訪問のときは、僕はまだ16歳だった。1時間先の時を過ごす君と、毎日連絡を取りあった。台北の街でWi-Fiを拾うたび、君のことを考えた。

 

二度目の訪問のとき、僕は19歳になっていた。

新幹線の窓を過ぎ去って行く嘉義の景色を眺めながら、一体何を考えていたのだろう。思い出せない。東洋史の期末レポートのことか?

きっと違う。

19歳の僕は、痩せ我慢が得意だった。

 

台湾のことをもっと知りたい。目の前に横たわっている現実を、きちんと知ろうとしなかった。僕の幼稚なところだ。

 

六次の隔たりがこんなにも見えやすくなったこの世界で、僕は今の君のことを何ひとつ知らない。

あの頃だって、よく知らなかった。

 

肝心の映画の話をしておくと、1回目の青いペンで全てを察してしまい、そこからずっと重苦しい気持ちで観ていた。いや、本当はタイトルの段階で覚悟しておくべきだったのだ。

月を見上げるシーンが好きだ。

 

♯4